自社サイトでGoogle広告やGoogleアナリティクス4(GA4)を運用している場合、Cookieの使用に同意しないユーザーのデータが計測できないという課題に直面したことがあるかもしれません。この課題に対応する仕組みが、Google同意モード(Google Consent Mode)です。本記事では、Google同意モードの基本的な仕組みから、導入するメリットや導入しない場合のリスクまでを整理して解説します。

目次

Google同意モード(Consent Mode)とは

Google同意モードとは、ウェブサイトを訪れたユーザーがCookieの使用に同意したか拒否したかに応じて、Google広告やGA4などGoogleが提供するタグやSDK(ソフトウェア開発キット)の挙動を自動で調整する仕組みです。ユーザーが同意した場合には通常どおりのデータ計測が行われる一方、拒否した場合にはCookieを使用しない形でシグナルが送信され、Google側で欠損データを補完する処理が行われます。同意状況を取得する手段自体は同意モードに含まれておらず、CMPツールや自社開発の同意取得の仕組みと組み合わせて利用する必要があります。

同意モードによるタグ挙動の分岐を示す図。ユーザーがサイトを訪問後、Cookie同意バナーで許可した場合はCookie・デバイス識別子を通常どおり送受信し実測データとしてGA4・Google広告に送信、拒否した場合(高度な同意モードの場合)はCookieを使用しない「ping」をGoogleへ送信しモデリングにより欠損データを統計的に補完する流れを示す。
出典:同意モードの概要 | Google for Developers

Google同意モードが求められた背景

Googleが同意モードの導入を進めてきた背景には、Cookie利用に関するプライバシー保護規制の強化があります。Cookie利用にユーザーの同意取得を求める規制の流れは、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとするEUのプライバシー法制によって以前から進んできました。欧州でのプライバシー保護規制強化が続く中、2022年11月にはデジタル市場法(DMA)が発効し、2023年5月から適用が開始されました。DMAは、Googleを含む大規模デジタルプラットフォームを「ゲートキーパー」と位置づけ、ユーザーデータの取り扱いについて同意取得を義務づける法律です。Googleは2023年9月にゲートキーパーに指定され、2024年3月6日までに義務を遵守する必要が生じました。この対応として、Googleは2023年11月にGoogle同意モードv2を発表し、2024年3月6日以降、欧州経済領域(EEA)および英国に在住するユーザーを対象に広告のパーソナライズや測定機能を利用する場合、Google同意モードの対応を必須としています。なお、Googleは2024年7月にEUユーザーの同意ポリシーを改定し、対象地域にスイスを追加しています。

同意モードの仕組み

Google同意モードは、「どのような方式で実装するか」「何を対象に同意を管理するか」「同意が得られなかった場合に何が起きるか」という3つの技術要素から成り立っています。それぞれの仕組みを理解することで、導入時にどのような設計判断が必要になるかが把握しやすくなります。

基本の同意モードと高度な同意モードの違い

実装方式には、基本の同意モードと高度な同意モードの2種類があります。

基本の同意モードでは、ユーザーが同意バナーを操作するまでGoogleタグの読み込み自体がブロックされ、同意が得られた場合にのみ同意モードAPIが読み込まれてデータが送信されます。ユーザーが拒否した場合は同意ステータスを含めデータが一切Googleへ送信されないため、モデリングの精度は大きく制限される、あるいは行われません。

高度な同意モードでは、ユーザーがサイトを開いた時点でGoogleタグ自体は読み込まれ、まずデフォルトの同意ステータス(未設定の場合は「拒否」)が送信されたうえで、ユーザーの操作後に同意ステータスが更新される仕組みです。拒否された場合もCookieを使用しないpingが送信されるため、自社サイトの実データに基づいた広告主様固有のモデルでモデリングが行われ、基本の同意モードよりも精度の高い補完が期待できます。

同意モードでは、保存する情報の種類ごとに「同意タイプ」と呼ばれる区分が設定されており、ユーザーの選択が同意タイプごとに「許可」または「拒否」としてGoogleへ伝えられます。CMPツールや自社の同意取得の仕組みは、ユーザーが選択した内容をこれらの同意タイプに対応させてGoogleへ伝達する役割を担います。

同意タイプ説明
ad_storage広告に関連する情報(Cookie・デバイス識別子)の保存を有効にする
ad_user_data広告目的でGoogleへユーザーデータを送信することへの同意を設定する
ad_personalizationパーソナライズド広告への同意を設定する
analytics_storage分析に関連する情報(滞在時間など)の保存を有効にする
functionality_storage言語設定などサイト・アプリの機能をサポートする情報の保存を有効にする
personalization_storageおすすめ表示などパーソナライズに関連する情報の保存を有効にする
security_storage認証・不正防止などセキュリティに関連する情報の保存を有効にする

このうちad_user_dataとad_personalizationは、新たに追加された同意タイプです。ad_user_dataは、広告を目的としてGoogleへユーザーデータを送信することへの同意を示す項目で、拒否された場合はユーザーIDや拡張コンバージョンで使用するハッシュ化されたファーストパーティデータの収集が無効になります。ad_personalizationは、パーソナライズド広告への同意を示す項目で、拒否された場合はGoogle広告やディスプレイ&ビデオ360、検索広告360でのリマーケティング機能、およびGoogleの広告サービスにおけるパーソナライズド広告が無効になります。

なお、2026年6月15日以降、GA4とGoogle広告を連携している場合、広告データの連携可否はGoogleシグナルの設定にかかわらず、ad_storageの同意状況のみで判定される仕様となっています。従来Googleシグナルの設定によって広告データの連携範囲を制御していた場合、この変更により意図と異なるデータ連携が生じる可能性があるため、Googleシグナルをオフにして対応していたサイトは特に注意が必要です。

出典:Google アナリティクスのデータ管理の更新 | アナリティクス ヘルプ

同意が得られない場合の「ping」とモデリング

高度な同意モードでユーザーが同意を拒否した場合、対象のCookieやデバイス識別子は保存されず、代わりにCookieを使用しないpingと呼ばれるシグナルがGoogleサーバーへ送信されます(基本の同意モードでは、拒否時にタグの配信自体が完全にブロックされるため、このpingは送信されません)。

pingには、同意ステータスping・キーイベントping・Googleアナリティクスのpingという3種類があります。

同意ステータスpingは、同意モードが有効な各ページにユーザーがアクセスするたびに送信され、同意タイプごとの許可・拒否の状態をGoogleへ伝えます(拒否から許可へ切り替わった場合にも一部のタグから送信されます)。

キーイベントpingは、コンバージョンなどのキーイベントが発生したことを伝えるために送信されます。

Googleアナリティクスのpingは、GA4が実装されたページの読み込み時やイベント記録時に送信されます。

いずれのpingにも、タイムスタンプやユーザーエージェント、参照元URLといった機能的な情報に加え、広告クリック情報の有無や同意状況を示すブール値など、個人を特定しない情報が含まれます。Googleはこれらのpingをもとに、拒否ユーザー分のコンバージョンデータを広告主様固有のモデルで統計的に補完します。

基本の同意モードの場合はping自体が送信されないため、モデリングの精度は大きく制限される、あるいは行われません。

Google同意モードの導入は、プライバシー保護への対応にとどまらず、広告運用の実務面でも複数のメリットをもたらします。ここでは代表的な3つのメリットを整理します。

メリット1.コンバージョンデータ欠損の防止(コンバージョンモデリング)

Cookieの使用に同意しないユーザーが一定数存在する場合、同意モードを導入していないと、そのユーザー分のコンバージョンデータが完全に欠損してしまいます。同意モードを導入すると、拒否ユーザー分のデータもping経由でGoogleへ伝達され、モデリングによって統計的に補完されるため、コンバージョン数の実態をより正確に把握しやすくなります。

つまり、Cookie利用を拒否したユーザーの行動も、実測値そのものではなく統計的な推定値としてコンバージョン数に反映される仕組みです。

メリット2.海外向け広告機能の継続利用

欧州経済領域(EEA)、英国、スイスに在住するユーザーを対象にGoogleサービスを利用する場合、GoogleのEUユーザーの同意ポリシーへの対応状況によっては、リマーケティングやパーソナライズド広告の配信自体が制限されたり、Googleサービスの利用が停止・終了したりする可能性があります。同意モードを導入し同意状況を適切に伝達することで、リマーケティングやパーソナライズド広告などの広告機能を継続して利用できます。日本国内のユーザーのみを対象とした事業を展開している場合、GoogleのEUユーザーの同意ポリシーの直接的な適用対象にはなりませんが、海外ユーザー向けにサービスを提供している事業者にとっては重要な対応事項です。

出典:EU ユーザーの同意ポリシー | Google 会社情報

メリット3.プライバシー法令への対応

Google同意モードの導入は、GDPRなど、Cookie利用に関する同意取得を求める各種プライバシー法令への対応の一環としても位置づけられます。特にGDPRは、違反時に最大2,000万ユーロまたは全世界年間売上高の4%のいずれか高い方の制裁金が科される規定があり、EU向けにサービスを提供する事業者にとって同意管理の整備は実務上必須の対応となっています。同意状況に応じてタグの挙動を制御する仕組みを整えることは、こうした法令が求める同意管理の実務対応にもつながります。

GDPRの詳細については、関連記事「GDPR(EU一般データ保護規則)とは?日本企業が知るべき適用範囲と対策を解説」もあわせてご確認ください。

同意モード導入時の注意点

Google同意モードの導入にあたっては、仕組みの性質上、いくつか誤解しやすいポイントや技術的につまずきやすいポイントがあります。

同意モード自体は同意取得の手段(Cookieバナー等)を持たない

Google同意モードは、あくまでユーザーの同意状況をGoogleへ伝達するための仕組みであり、同意を取得するためのバナーやウィジェット自体は提供されません。同意取得の手段としては、CMPツールを利用する方法と、自社でバナー等を独自に開発する方法があります。CMPツールの利用は必須ではありませんが、各国のプライバシー法令への対応や運用負荷の軽減という観点では、CMPツールを利用するほうが現実的な選択となる場合が多くあります。

タグの発火順序を誤ると正しく計測されない

高度な同意モードを実装する場合、Googleタグの読み込みよりも先にデフォルトの同意ステータスを設定しておく必要があります。この順序を誤ると、意図した同意ステータスがGoogleへ正しく伝わらず、計測データに不整合が生じる可能性があるため、実装時にはタグマネージャー等での設定順序を確認しておくことが重要です。

モデリングには一定のデータ量が必要

拒否ユーザー分のコンバージョンデータをモデリングによって補完する機能は、一定量の同意ユーザーのデータが蓄積されていることが前提となっています。サイトの流入数やコンバージョン数が少ない場合、モデリングの精度が十分に発揮されないことがあるため、導入直後からすべてのデータが即座に補完されるわけではない点をあらかじめ理解しておく必要があります。

同意モードに対応したCMPツールなら『webtru』

webtru(ウェブトゥルー)は、国産シェアNo.1、国産初のGoogleの「Consent Management Platform(CMP)パートナー認定」も取得しているCMPツールです。

Google同意モードv2への連携

webtruのカテゴリ(アクセス解析・広告など)とGoogleの同意タイプを対応させることで、ユーザーの同意状況をGoogle アナリティクスやGoogle 広告などのサービスへ、Google同意モードv2の仕様に沿った形で連携できます。なお、webtruはMicrosoft Clarityの同意モードにも対応しています。

GDPRをはじめとする複数の法令に対応

法令ごとに異なるデザインで表示されるCookie同意バナーの例

webtruは、日本国内の改正電気通信事業法だけでなく、EUのGDPRやアメリカのCPRA(CCPA)など複数の国・地域のプライバシー法令に対応しており、海外向けにサービスを展開する事業者でも1つのツールで同意管理を一元化できます。

エンジニア不要の2ステップ導入

自社サイトをスキャンし、生成されたタグを設置するだけの2ステップで導入が完了するため、専門知識がなくても短期間で運用を開始できます。

同意モードの対応を検討している場合は、webtruの詳細資料をご確認ください。

Google同意モード(Consent Mode)におけるよくある質問

Google同意モード(Consent Mode)とは何ですか?

ユーザーがCookieの使用に同意したか拒否したかに応じて、Google広告やGA4などGoogleタグの挙動を自動調整する仕組みです。2024年3月にGoogleが対応義務を負ったデジタル市場法(DMA)への対応を背景に、GoogleはEEA、英国、スイスのユーザーを対象とする場合の対応を必須としています。

Google同意モードv2とv1は何が違いますか?

v2では、ad_user_dataとad_personalizationという2つの同意タイプが新たに追加されました。現在の公式ドキュメント上、「v1のみ」を選んで実装するという区分は存在せず、新規導入時は自動的にv2の仕様に沿った実装となります。詳しくは「同意タイプ(7つのパラメータ)」をご覧ください。

Google同意モードを導入しないとどうなりますか?

拒否したユーザー分のコンバージョンデータが計測から欠損し、リマーケティングの対象となるユーザーリストが縮小する可能性があります。また、EEA・英国・スイスのユーザーを対象にサービスを提供している場合は、GoogleのEUユーザーの同意ポリシーへの対応状況によって、Googleサービスの利用制限や停止に至るリスクもあります。詳しくは「同意モードを導入する3つのメリット」をご覧ください。

同意モードの導入にCMPツールは必須ですか?

必須ではなく、自社開発のバナー等を用いて技術的に対応することも可能です。ただし、各国のプライバシー法令への対応や運用負荷の軽減という観点では、CMPツールを利用するほうが現実的な選択となる場合が多くあります。詳しくはwebtruの同意モード連携機能をご確認ください。